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夜中に歯ぎしりする人に共通していること

顎に問題を抱えている人たち

私の鍼灸院には顎に問題を抱えている人がたくさんやってきます。

「顎関節症を治せますか?」と尋ねてくる方もいらっしゃいますが、自覚がない方もたくさんいらっしゃいます。症状は違っても、顎に問題を抱えているケースはとても多いです。たとえば、頭痛、耳鳴り、突発性難聴、肩こり、腰痛に悩む人の顎の関節に触れると、指が入らないほど硬いことがあります。

 

顎関節のチェック

 

耳たぶのすぐ後ろを触れると、顎と頭蓋骨の隙間があります。指先が少し入り込む程度の小さな隙間です。この隙間があまりにも狭く、指が全く入らない時は、顎関節が過緊張を起こしている可能性があります。左右で比較して隙間の広さにはっきりとした違いがある場合は、左右の顎がアンバランスになっています。

顎の骨は、頭蓋骨と直接連結しているわけではありません。耳たぶの辺りからぶら下がっています。顎が落ちて外れないようにつなぎ止めているのが筋肉です。顎関節に問題が生じる場合は、筋肉がつくり出す張力が過剰になった時です。顎周辺の筋肉に力が入りすぎている状態です。

 

歯ぎしりの原因は顎関節の緊張

顎関節の力の入れすぎが、夜中に起こる歯ぎしりの原因です。寝ている間のことなので、コントロールできません。朝になって起きた時に、頬に張り感があったり、全身が疲れているような感覚で悩むことになります。こういう時は、いくら睡眠を取っても疲れが取れません。

なぜ、顎関節の周辺の筋肉が硬くなってしまうのでしょうか。一般的に歯ぎしりの原因はストレスと言われることが多いのですが、原因の説明になっていません。

体の構造と性質に着目しなければ、本当の原因にはたどり着けません。

 

顎関節を緊張させる体の構造

顎は頭蓋骨がぶら下がっている関係で、体の衝撃が加わる時には緊張させて外れないように守る必要があります。だから、ある程度の緊張が必要です。その緊張度がちょうどよくなるように自動制御されています。

咀嚼をするためには、歯を様々な方向に動かさなければなりません。もし、顎の関節が頑丈につくられていたら、自由に動かせなくなってしまいます。顎関節に限らず、関節は、自由自在な動きと頑丈さはトレードオフなのです。

顎は衝撃に対して準備しています。衝撃はボクシングのパンチのような大きなものばかりではありません。衝撃は日常生活の中に無数にあります。

たとえば、歩くだけでも頭は揺れます。走ったらもっと揺れます。そうした揺れから顎を守るために、顎の周囲は動きに対応する緊張をつくり出し、頭蓋骨から顎が離れないように守ります。しかし、このシステムが必要以上の緊張を生みだしてまうと、常に身構えている状態となり、様々な問題を引き起こします。たとえば、頭痛、耳鳴り、突発性難聴、肩こり、腰痛などです。

 

歯ぎしりは噛みしめを解こうとする防衛反応

夜中に起こる顎関節の緊張は、いわゆる「噛みしめ」です。噛みしめを解こうとして顎が動き出すのが歯ぎしりです。ですので、噛みしめる癖を治すことが歯ぎしりを解消することになります。

顎にグッと力を込めている時、肩甲骨にも力が入っています。肩甲骨も顎関節のように、体幹とガッチリ接続されているわけではありません(鎖骨を通じて胸骨と接続されているのみです)。肩甲骨もまた、顎関節のように体幹から離れないように筋肉の緊張によってつなぎ止めています。特に、肩甲骨の内縁と言われる部分はその役目を強く持っています。

このように考えると、顎関節と肩甲骨内縁部は事情が似ています。そのため、こららは緊張が同調しやすいのです。どちらかが緊張すればもう片方も緊張するという関係です。

ですから、顎関節の問題を解決するには、肩甲骨の調整が欠かせません。こうした体の構造を正しく理解していないと、顎のトラブルを解決することはできません。

 

肩甲骨と顎関節の同調

 

超一流のスポーツ選手は顎に力が入っていない

「顎に力が入れる」は言ってみれば耐える動作です。体の緊張度を高めて外的な衝撃から身を守る動作です。そういう状態が必要な状態もありますが、いつも顎に力が入っていると、全身の筋肉は緊張し、関節の可動性は低下します。

超一流のスポーツ選手や武術の達人は、頭がブレません。頭がブレないと顎を守る必要がないので余計な力が入りません。だから、自由に動きやすい状態をずっと維持できます。

 

歯ぎしりに効くツボ

顎に直接鍼を刺すことはしません。顎に原因がないからです。顎の筋肉が緊張しやすい状態を解消しなければ、一時的に効果が出たように見えても、すぐに緊張が戻ってしまいます。

ツボを選ぶ時は、肩甲骨の緊張を意識したツボ選びが大事です。時には腰部の緊張を解くことが必要です。お一人お一人、少しずつ事情が異なるので、実際のお体を診るまで使うツボは決められません。施術する前には、問診で歯ぎしりが起きた背景を理解し、触診で肩甲骨や腰部の緊張を確かめるようにしています。

提供:養気院

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